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最高裁判所第三小法廷 昭和35年(秩ち)2号 決定 1960年10月11日

東京都渋谷区千駄ヶ谷四丁目二六番地 日本共産党本部内

申立人

宮田富美

右代理人弁護士

青柳盛雄

青柳孝夫

右申立人に対する法廷等の秩序維持に関する法律による制裁事件につき、昭和三五年七月二三日東京高等裁判所がした抗告棄却決定に対し申立代理人等から特別抗告の申立があつたので、当裁判所は次のとおり決定する。

主文

本件特別抗告を棄却する。

理由

本件特別抗告申立の理由は、末尾添附の書面記載のとおりである。

同第一点について。

所論は、法廷等の秩序維持に関する法律(以下本法と略称する)は、憲法一九条及び二一条に違反し無効であると主張する。

しかし、所論は独自の見解に基きわが国の裁判の現状を非難し、かかる現状の下においては、本法は思想及び良心の自由を拘束し、表現の自由を制限することに役立つものであると主張し、これを前提として本法の違憲を主張するものであつて、所論はその前提において到底採用し難いのみならず、本法による権限が直接憲法の精神、すなわち司法の使命とする正常、適正な運営の必要に由来するものであることは当裁判所の判例(昭和二八年秩ち第一号同三三年一〇月一五日大法廷決定刑集一二巻一四号三二九一頁以下)の示すところであり、本法が憲法の所論各条に違反するものでないことは、右判例の趣旨に徴し明らかであるから、所論は理由がない。

同第二点について。

所論は、本法は憲法三一条ないし三四条、三七条及び八二条に違反すると主張する。

しかし、本法が憲法三二条ないし三四条、三七条及び三八条に違反しないことは、当裁判所の判例(前記大法廷決定)の趣旨に徴し明らかであり、従つて同三七条違反を前提とする同三一条違反の主張もまた理由がない。

よつて法廷等の秩序維持に関する法律九条、法廷等の秩序維持に関する規則一九条、一八条一項に従い、裁判官全員一致の意見で主文のとおり決定する。

(裁判長裁判官 石坂修一  裁判官 島保  裁判官 河村又介 裁判官 垂水克己  裁判官 高橋潔)

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